改悛の情の矛盾を描いた、やりきれない悲しい気持ちになる小説。~「13階段」高野和明
    冤罪をテーマにし死刑制度の矛盾を突き付けた
    ミステリー小説です。

 

結構、重い内容ですが死刑制度や刑務所の
仕組みや機能がわかりやすく描かれており
勉強になる本でした。

 

この方の本は初めて読みましたが
物語の展開も上手く、話の通り道がよく見える文章で
実に読みやすい本でした。

 

ルゥーの一言感想
やりきれない気持ちになる・・・
読後のやり切れない気持ちをどうすればいいのか・・・
ただ、ただ悲しくなる本でした・・・
ルゥー
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本と作家の情報etc・・

 

  • 作家・高野 和明
  •  

    1964年生まれ 52歳

     

    日本推理作家協会会員。

     

    映画監督を目指し海外で
    画演出・撮影・編集を学びながら
    働き、Vシネマ監督の話を受けて日本へ帰国。

     

    しかし、宮部みゆきの小説「火車」などを読み
    小説が書きたいと思い執筆しだす。

     

    2001年、死刑制度を扱ったミステリー『13階段』で
    第47回江戸川乱歩賞を受賞。

     

    40万部を売り上げ、乱歩賞受賞作品の中でもっとも
    速く高い売り上げ記録を達成している。

     

    『引用:Wikipedia




     

  • タイトル・「13階段」
  • 2001年発売
  • ページ数 約344p
  • 2003年 映画公開
  • 出演者
    1. 反町隆史
      山崎努
      笑福亭鶴瓶
      田中麗奈
      宮藤官九郎
      大杉漣
      宮迫博之
      寺島進

    ほか

     

    13階段
    総合評価
    レビュー件数 219件

     

    13階段~あらすじ

     

    状況証拠と物的証拠で強盗殺人罪で
    逮捕された男・樹原亮。

     

    しかし、彼は事件当日バイク事故を
    起こし記憶を失ってしまう。

     

    記憶喪失による本人からの自白もない為、
    死刑確定をまたれるまま7年・・

     

    記憶を失い投獄され死刑を待つ彼は
    7年間一度として思い出せなかった事件当日の記憶が
    僅かに蘇る。

     

    身に覚えもない事で自分は死刑にされてしまうと感じ、
    必死に断片的に蘇った記憶を元に無実を主張する。

     

    合理的証拠の不十分の為、冤罪の可能性も
    上げられ弁護士から一千万の成功報酬を
    元に退職間際の刑務官と傷害致死で2年の実刑を
    食らった仮出所中の二人の男に事件解明を依頼する。

     

      しかし・・

    蘇った記憶は

      「あの時、自分は階段を上がっていた」
      キーワードは「階段」・・・

     

    たったこれだけで事件を暴こうとする二人だが・・・・・

     

    階段が一体何を指すのか、真犯人はいるのか?

      果たして彼は本当に・・・

     

    そして、成功報酬一千万の大金を求める
    彼らの人生とは・・・

     

    13階段~感想

     

    罪を犯した人間がどう裁かれ、死刑囚の刑の執行が
    どう行われていくのかよくわかる本だと思いました。

     

    中でも改悛の情という曖昧な基準がある事には
    驚きでした・・・

     

    改悛の情とは罪を犯した人間が
    心から反省しているかどうか裁判官が判断し
    罪を軽くする制度です。

     

    例えば泣いて反省したり、遺族に多額の賠償金を
    払ったりする等でいかに反省しているかを伝え
    罪を軽減してもらう事と本を読んで知りました。

     

    ウソ泣きの大金持ちはかなり有利ではなどと
    思いつつでも本当に反省してる人は

     

      ・・・・う~ん・・難しいなと・・

     

    本題の物語については、冤罪の可能性を信じて
    樹原亮を救おうとする二人。

     

      冤罪を暴いたら成功報酬一千万・・・

     

    最初はこの大金の為に調査している二人だと思ってたんですが、
    彼ら二人にはお互い心に引っかかる問題があり、
    死刑制度や改悛の情の矛盾、そしてコレに対し徐々に
    反発するかのように諦めず調査し考え行動する二人・・・

     

    これは読んでてもはや意地の張り合いではと、
    この国の死刑基準や改悛はおかしんだよと言わんばかりに・・・

     

    それは、本の中盤で刑務官の南郷正三が
    刑務官として死刑を執行する立場がいかに辛く
    矛盾を感じていたかが描かれており
    彼は彼なりの罪滅ぼしで救えるならばと思い、
    この依頼を受けたのでしょう。

     

     

    また、主人公にしても
    自分に施行された改悛の情に疑問を持っていて
    イラつきさえも見せ、その謎が未成年の時に補導された
    事と繋がり、さらには彼が犯した傷害致死にも繋がるのですが、
    最後の告白の手紙の所は人の心の内等やはり見えはしないのだと、
    改悛の情これは一体何なんだと虚しく感じました・・

     

    二人の探偵もどきの謎解きを織り交ぜながら死刑制度や
    改悛の情についての矛盾点を描きつつ、
    後半でのあと一歩で全てわかると見せて意表をつく
    二段ミステリーの展開で一気に最後まで読ませる感じでした。

     

    しかし、最後の主人公の告白の手紙は
    何かグサッときました・・

     

    読み終わった後、茫然として頭の中真っになりました。・・・・

     

      

     

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