人間の弱さが垣間見える虚脱の小説~「天使の囀り(さえずり)」





貴志祐介・原作の黒い家と青の炎を映画で見たとき
絶望と恐怖がよかった映画でした。

 

黒い家は

    大竹しのぶさんの「・・えぇぇ~・・・・」と

心から恐怖と絶望を与えてくれました。

 

狂人の演技が印象的で青の炎では
高校生役の二宮和也さんのやりきれなさと
覚悟を決めてトラックに突っ込む最後のシーンが
絶望的な気持ちにさせてくれました。

 

今回のこの天使の囀りも中々です・・・

ルゥーの一言感想
ラストがえぐい・・・
読み手に絶望感を与えつつ希望を持たせる描き方が上手い。
読了後の虚脱感が余韻になる小説。
ルゥー

本と作家の情報etc・・

 

作家・貴志 祐介(きし ゆうすけ)

 

    大阪府出身 1959年生まれ。

 
幼いころから読書に親しみ、
中学生時代からミステリやSFを読み始める。

 

1日で7冊読んだこともあったという。
大学4年生のころに投稿をはじめた。

 

大学卒業後、朝日生命保険に入社した当初は小説を
書くのを断念していたが、数年後に意欲が芽生えて
執筆を再開している。

 

鈴木光司『リング』を読み、

    「ホラーというのは、ミステリの文脈でまったく

新しいものが書ける」と気づいたという。

 

1986年に第12回ハヤカワ・SFコンテストに
「岸祐介」名義で応募した。

 

後の『新世界より』の原点となる短編
「凍った嘴」が佳作入選する。

 

人間の欲望や狂気が呼び起こす恐怖を描いた
ホラー作品を発表する一方、

 

『青の炎』では青春ミステリーを、
『硝子のハンマー』にはじまる
防犯探偵・榎本シリーズでは本格ミステリー。

 

『新世界より』ではSFを発表し、幅広いジャンルを手掛けている。

 

『引用:Wikipedia

 

タイトル「天使の囀り(さえずり)」 

    ページ数・約445ページ
    1998年6月・発売

 

天使の囀り 天使の囀り
総合評価
レビュー件数 233件

天使の囀り~感想

 

ホラーというより死体の描き方がグロイ小説、
終盤の集団自殺の現場は
人の形をしていない描き方がグロいです。

 

 

終盤の集団自殺の惨状を想像しながら読むのは・・・

 

 

人の形を失ったダルマの様な形状で・・・・

 

何故そんな姿になったのかを考えると想像すると

 

 

  

 

       

    「・・・・・」

まずそんな人間の形を失った肉塊を想像するのは
やめましょう・・・・と

 

無心で読みました。

 

 

 

 

映画化した時どういう映像になるのか興味を惹かれつつも
ムカデ人間を見る勇気がなかった僕には
無駄な想像だと気づきあえなく無言・・・

 

 

 

 

 

さて、話の入りとしては
アマゾンに行った高梨が
恋人・早苗にメールで近況報告をする
そのメールの文面から高梨という人間が
どんな性格、人柄をもった人間なのか
よくわかる為、帰国した時の彼の変わりようは
異様だとすぐわかる。

 

このストーリー序盤の入り口から
もやもや、違和感がある物語の進め方、
見せ方は貴志祐介独特の奇妙な物語の始まりであると
感じさせる。

 

 

 

そして、高梨の意味不明の不自然な自殺、
それに続くかのように高橋と同じような奇妙な
自殺が多発。

 

 

 

この自殺に何故と思わせ、先が気になる為
この物語への期待感がグンと上がり
興味を失わせない。

 

 

 

そして、物語の裏の主人公、
一人の落ちこぼれの青年のストーリーは
救われない形でしたが不自然で奇妙な事件の
真相を探るカギの一つとして何故こんな
状況になったのかがわかる
いいヒントだったと思います。

 

全てがつながった時の爽快感がありました。

 

    
最後の最後までまさかの
展開をみせてくれましたし、
ラストでの彼女の最後の選択は末期の患者に
アレをそう使うべきなのか・・・と

 

その行動が正しかったのかどうかもわかりませんが
多くの犠牲者を無駄にしない為の
唯一の方法だったとありましたし
恋人を失った原因を突き止めた矢先に
更なる追い打ちをくらい今回の事件で心に深い傷を残した
彼女のこれからの決断と気持ちがよくわかる
描写だったと思います。

 

 

誰が悪く犯人が誰かよりも

    何故こんな事になってしまったのか。

 

 

何故こんなモノを見つけてしまったのか・・・・

 

 

何かにすがりたい人間の弱さが
よくわかる物語でした。
  

 

 

天使の囀り~あらすじ

 

新聞社主催のアマゾン調査プロジェクトに
参加した作家・高梨、彼はどこか影があり脆く、
そして「死ぬ」と言う事に
異常に恐怖を抱く死恐怖症(タナトフォビア)だった。

 

 

アマゾンから帰国後、恋人・北島早苗と再会した時、
彼が前とは別人かと思えるほど
明るく人格が異様なほどの
変身を遂げていた。

 

高梨はタナトフォビアの恐怖さえ乗り越え
「死」をもっと身近に感じたいといい
「天使の囀りが聞こえるんだ」とわけの分からない事を
言い始める高梨・・・

 

 

そして、アマゾン帰国数日後・・・・

 

 

死ぬ事に憧れを抱き高梨は自殺してしまった。

 

 

 

残された恋人・北島早苗は
アマゾンに行ってから彼はおかしくなったと
考え調査プロジェクトに参加した人たちに
話を聞こうと接触を試みるが参加者のメンバーも
二人以外を残して次々と異常な自殺を遂げていた。

 

 

 

そして、プロジェクトとは全く無関係の人達も
異常な自殺をしている事に
気づき始める。

 

 

自殺した全員に共通するのが
人格が明るくなり、天使の囀りを聞くこの2点だった。

 

 

精神科医である早苗は「天使の囀り」を
精神が異常をきたし聞こえる幻聴と考えたが・・・

 

しかし、一体何が原因なのか・・・

 

アマゾンで一体何があったのか?

 

 

人格を明るく変え人を自殺へと誘う「天使の囀り」とは・・・・

 

 

ホスピスで精神科医の北島早苗が
恋人の謎の自殺を解明しようと試みるが・・・

 

ホスピス(緩和ケア)緩和ケアとは、
生命を脅かす疾患による問題に直面する
患者と其の家族に対して、

    痛みや其の他の身体的問題、
    心理社会的問題、
    スピリチュアルな問題

を早期に発見し、的確なアセスメント
対処(治療・処置)を行うことによって、
苦しみを予防し、和らげることで、
クオリティ・オブ・ライフを改善する
アプローチである。『引用:ホスピス財団』




こんな本も読んでます。

 

 

 

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