ホラー小説・京極夏彦「数えずの井戸」~怪談皿屋敷を元ネタに皿を巡って全員BadEnd!




個人的に好きな作家さんの1人です。

 

相変わらず分厚い本ですが
今回の物語もやっぱり面白かったです。

 

相変わらず京極夏彦先生の
おどろおどろしく、訳のわからないまま
読み手を物語の世界へ
引っ張り込むのが上手いです。

ルゥーの一言感想
人間同士のドロドロ感が・・いい!
夏におすすめのホラー小説!
皿を巡り思惑が迷走、言葉失うラストで心壊れた
狂人を目撃せよ!!
ルゥー

本と作家の情報etc・・

   

作家 ・  京極 夏彦

   

1963年3月生まれ 
北海道 小樽市 出身

 

 妖怪 お化けが大好きな面白いおじさんです。

 

代表作の京極シリーズは
500ページ(姑獲鳥の夏以外)を
超えるものばかりゆえにレンガ本と呼ばれる。

 

     

デビュー作は

 「姑獲鳥の夏」(1994年)

安易な気持ちで書いて投稿した
小説が編集者の目に止まりデビュー。

 

『引用:Wikipedia』




  • タイトル 「数えずの井戸」
  • 江戸怪談シリーズ 番町皿屋敷をもとに
    描かれた物語。

      2010年 発売
      ページ数 約771p

       

    数えずの井戸
    総合評価
    レビュー件数 21件
    2018年 6月時点でのAmazonでのレビュー評価です。

     

    数えずの井戸~あらすじ

     

    父・青山鉄山が急死し家督を継ぎ
    青山家の新たな当主となった青山 播磨。

       

    彼は人生がつまらなかった。

     

    何故つまらないか自身でも分からず
    毎日がつまらないのだった・・・・

     

    満たされない何かがわからず全てのことが
    どうでもよく自分には何かがかけている・・・

     

    それだけ気づいていた。

       

       

    そんな青山 播磨に叔母がもってきた
    縁談の話が持ち上がる。

     

    相手は次期若年寄の娘 大久保 吉羅。

  • 若年寄とは
    旗本や御家人の支配を軸とする将軍家の家政。
  •    

    若年寄のお家と縁続きになれば青山家の出世にもつながり
    千載一遇のチャンス。

     

      良縁であった・・・・(ようは逆玉の輿である)

    叔母は意気込むが播磨はどうでもよかった・・・

       

       

    その良縁を結ぶためには

      青山家家宝 姫谷焼十枚揃いの絵皿を

    大久保家へ献上しなければならなかった。

     

    しかし、皿が見つからない・・・・

       

       

    青山播磨との婚姻を成立させたい
    大久保家ご息女・大久保吉羅 自身、青山家家風を
    知るためと偽り女中を引き連れ住み込みで
    皿を探しに来たのだった。

     

    播磨はうんざりした皿如きで何をと・・・

       

    そんな折、青山家に家臣十太夫の計らいで
    菊と名乗る娘が女中奉公することになる。

       

    播磨は依然 菊と出会っており
    播磨は菊を見つけると

      「儂じゃ儂じゃほれっあの時の・・」と色めき立った。

     

    笑顔で菊に話しかける播磨。

       

    それを見た大久保 吉羅は菊に対して
    大きな嫉妬を募らせ始める。

     

    何故ならこの家に来て一度も吉羅は播磨に
    話しかけられたことがなく自分の前では常に
    無表情を装う播磨に苛立っていたのだ。

       

       

      青山家で起こる家宝の皿に逆 玉の輿の婚礼・・・

     

    播磨のかつての悪友遠山主膳はこれを聞きつけ、かつてより
    気に食わなかった青山播磨のすべてをぶち壊そうと
    動き出す。

       

       

    青山の女中 仙は 大久保吉羅の不貞を知り
    播磨に密かに思いを寄せる・・・

      仙は言う「絶対、皿は出さないっ」

       

    そして、隠していた菊の過去も事情も露呈するとき・・・・

     

    徐々に青山家で不穏な歪みが忍び始める・・・・

       

       

  • 後に語られる 青山家当主 青山播磨惨死後
    青山家 廃絶 ・・・
  •  

    その後、
    青山家の井戸から皿を数える女の声が聞こえると
    いったいあの声は・・・

       

    あれやこれやと噂が飛び交う青山皿屋敷の怪事件。

     

    当事者全員死亡のため真相はわからずじまい。

     

    はたして その真相とは・・・・




    数えずの井戸~感想

       

     

    771ページと相変わらずのページ数ですが
    面白いです。

       

    皿を数えるお菊の幽霊
    「1枚たりなぁ~ぃ」 は有名なセリフ。

       

       

    怪談話をもネタに描かれた物語ですが
    果たしてどんな話か。

     

    ミステリー、サスペンス、時代小説、純文学
    とても気になり手に取ってみたところ
    悲しい恋物語でした。

       

       

  • 青山 播磨
  • 十太夫
  • 遠山 主膳
  • 三平
  • 大久保 吉羅
  • それぞれがそれぞれを思い
    すれ違い、相手に伝わらず

      そして、惨劇になる何とも歯がゆい物語でした。

       

    前半はだれる感じで淡々と日常を語りながら
    各登場人物たちの性格や思い、過去を語り
    そして、中盤に向かって徐々に登場人物が青山家に
    集まりだし物語の歯車がガッツリ絡まりだしてきます。

       

    物語が急速に動き出すのが中盤も少し過ぎたころ

      仙の「皿は絶対ださないっ」と

    菊の側でぽつりとうっかりつぶやいてしまってから
    面白くなりだします。

       

       

    前半であれほど無気力な青山播磨が菊のために
    あれこれと庇いだてしたり激昂したりと徐々に変化を
    もたらす様子が人間らしくなってきて
    心温まる感じでした。

       

    菊に嫉妬する吉羅も憎らしくもあったが
    可哀そうな女性でしたね。

     

    美人なのに・・・

       

    それぞれがそれぞれを思うが上手くいかず
    足踏み状態それに苛立ちすべてが狂ったように
    壊れだすそんな物語でした。

       

       

    怪談話をモチーフにした今作は
    明るい雰囲気が見だされない暗く静かな文体で
    怪談話ではないですが怪談話のような暗くゆったり
    とジメッとした感じがあり終始物語に没頭できる本でした。

      そんな雰囲気作りが素晴らしかったです。

       

       

    物語の始まり序をしっかり読み踏まえた上で
    読み始めると青山家皿屋敷の怪事件について
    いったい何が起きたのかが分かりやすく
    楽しめて読めると思います。

       

      悲しい物語でしたが安心して読める良い1冊でした。

       

    そして、最後に青山家につかえる権六なる登場人物は
    屑野郎でした。

     

    読んでてイライラしたっ!!

     

    でも、そんな演出もさすがっ!!

     

       

     

     

    こんな本も読んでます。

     

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