ドラマ化、映画化と話題となった
「ロクヨン」。
個人的には映像作品より本の方が物語や主人公の
緊迫感と緊張感があり読んでいて唾を飲み込むほど
伝わりました。
文字が語る力を強く感じ、とても印象の強い
1冊になりました。
見やすい、読みやすい、物語が自然と
頭に入ってくる。
そして、ワクワクがある。
本と作家の情報etc・・
作家・横山秀夫氏
1957年1月17日 生まれ
東京都立向丘高等学校、
国際商科大学(現在の東京国際大学)商学部卒業。
1979年上毛新聞社に入社。以後12年間記者として勤務。
1991年「ルパンの消息」が第9回サントリー
ミステリー大賞佳作を受賞したことを契機に退社。
1998年に
「陰の季節」で
第5回松本清張賞を受賞し小説家デビュー。
2003年に刊行された『クライマーズ・ハイ』は、
著者が記者時代に遭遇した日航機墜落事故取材の
体験をまとめたもの。
しばらく体調を崩していたが、
2012年、
7年ぶりに刊行した『64』がベストセラーに
数千枚の原稿を捨てながら作品の完成度を上げる
ことに努力し書き上げた。
「このミステリーがすごい!」と
「週刊文春ミステリーベスト10」で1位に輝く。
2015年4月18日より、
NHK「土曜ドラマ」にて全5回で放送。
主演はNHKドラマ初主演となるピエール瀧。
2016年に『64-ロクヨン- 前編/後編』の2部作で構成され
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『64-ロクヨン- 前編』は2016年5月7日、
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『64-ロクヨン- 後編』は6月11日に公開。
監督は瀬々敬久、脚本は久松真一・瀬々敬久、
主演は佐藤浩市。
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19.4億円(前編)
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17.4億円(後編)
2012年10月25日発売
ページ数 650ページ (単行本)
ロクヨン | |||
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総合評価 |
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レビュー件数 | 313件 |
(2018年 9月時点でのAmazonでのレビュー評価です。)
ロクヨン~あらすじ
主人公・三上はD県警察本部の警察の
内部組織・警務部の「広報官」。
警察が係る事件の内部情報をどこまで
記者に教えるかを 決め記者に伝えるのが
仕事であった。
ある事故の匿名問題で記者との関係がこじれて
主人公と記者の間に壁ができてしまう。
そして記者達と壁ができたまま、上司から
警察庁長官が視察に訪れると告げられる。
警察庁長官が視察訪れる先は昭和64年に娘を
誘拐、殺害され身代金までまんまと犯人に
持ってかれD県警察組織の信頼をガタ落ちにさせた
-
忌まわしき未解決事件「ロクヨン事件」・・・・
その少女誘拐殺人事件の被害者宅への
遺族訪問だった。
理由は警察が犯人逮捕の為、14年の時が過ぎても
継続捜査中である事の世間への警察の
イメージアップを含んだアピールであると
言い渡される。
その為に記者たちの協力が必要であると上司に
命令される主人公。
上司は、例の匿名問題は伏せたまま、
記者たちには無理やりでも警察に協力させろ
と無茶を言い出す始末。
三上はこれに納得しないままだが、毅然とした
態度で記者たちに伝えるが当然キレる記者達!
そして、遺族訪問では被害者遺族は
長官訪問を何故か拒否!
さらには64絡みで警察内部を調べる主人公の
同期の男!
そして何故、64事件が未解決で終わったのかを
記した謎のメモの存在!
14年の時を過ぎて再びロクヨン事件が
動き出す。
ロクヨン~感想
横山秀夫作品といえば
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「半落ち」
-
「クライマーズ・ハイ」
なども映画化されていますね。
映画「ロクヨン」は2部構成の濃厚な作品に
仕上がっており原作と少し違ったラストも
見ものですがやっぱり僕は、本をおすすめします。
なにより読みやすい文章構成が特徴であり
横山秀夫先生は元々新聞記者さんだった為、
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人に読ませる、伝えるといった文字の表現や
見やすさを意識してか文体が丁寧で読みやすく
見やすい。
そして、穏やかで落ち着いた文章を見せて
くれます。
個人的に、この人の本ほど読みやすい本は
ないんじゃないかと思えるぐらい文体、
文章構成が丁寧で読みやすいです。
ストーリーもひきつけ方もうまく
一難去ってまた一難の展開の中に
きちんと何かしらの含みを持たせた
見せ方をするので飽きさせない。
1つの謎は解決するが
1つの疑問がでてくるみたいな感じです。
登場人物は結構多いですが、
主要となる人物は限られてきますし、
そういったキャラに対しては感情移入しやすいよう
しっかりとしたキャラ設定されてるおり
1つの1つの分岐点で
キャラの役割をきちんと担っています。
そういった登場人物1人1人登場のおかげで
不透明だった物語の繋がりや
謎が埋まっていくようで新たな展開、進展に
向けての重要な人物として物語の1つの
キーとなる為、ちょいキャラもその
心情、状況、現在、などきちんと描かれて
いました。
主人公、警察広報官達が記者たちに
事件真相を彼ら各社の記者に
どこまで伝えるかなどの線引きの駆け引きや
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お互いが腹の探り合い、
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切り札のカードをいつ切るか、
交渉に使えるネタをどう使うかなど
その他諸々の戦略がかなりおもしろい。
記者や主人公の焦りや腹のくくりかた
心情がうまく描かれており読んでいてワクワク感が
体を包み読んでいてたまりませんでした。
警察組織と記者同士のいざこざにかつての
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未解決事件「ロクヨン」を
警察組織のイメージアップの為に
引っ張り出した事から掘り返された不都合な真実。
過去の忌まわしき事件
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「ロクヨン(64)」の
事件真相の足掛かりを見つけてしまった主人公。
警察組織、被害者、記者全てを引っ掻きまわし、
D県警察本部、警務部秘書課調査官〈広報官〉警視
という立場の三上が警察組織と記者、
被害者の中でもがき
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自分の正義のあり方と
事務職について忘れていた
刑事魂が覚醒していくストーリー展開のおかげで
ページをめくる手が止まらない!!
そして、64とは別でみせる物語主人公の
娘の失踪の話は被害者の父親と主人公の心情を
重ねる為に特別な意味も感じました。