徐々に闇落ちしていく主人公・・・虐殺器官による異常虐殺行為の目的は?~伊藤計劃「虐殺器官」

2009年に34歳という若さで病死により
他界された小説家・伊藤計劃さんの
「虐殺器官」。

 

奥深い難解なストーリーと
複雑な近未来兵器の数々が想像力を
掻き立てられる1冊でした。

ルゥーの一言感想
作家独自の世界観が強すぎる!
フィリップ・K・ディックの
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を
彷彿させるような世界観。

読んでるこっちはおいてけぼりになる・・・

アニメ化もしているのでそちらで補完して
みるといいかも。

ルゥー

本と作家の情報etc・・

 

作家・伊藤計劃

 

 

  • 本名 伊藤 聡
    1. 1974年10月14日 生まれ
      2009年3月20日 肺癌のため死去。

     

    Webディレクターの傍ら執筆した『虐殺器官』が、

      2006年第7回小松左京賞最終候補となり、

    ハヤカワSFシリーズ Jコレクションより刊行され、
    作家デビュー。

     

    生前は、ゲームデザイナー小島秀夫の
    熱狂的なファンであった。

     

    学生時代にプレイした『スナッチャー』から
    小島の作品にのめりこみ、

      「小島原理主義者」

    「MGSフリークス」を自称するほどであった。

     

    特にメタルギアソリッドの二次創作を中心に
    手がけており、後にゲームの公式ノベライズを
    担当した。

     

    遺作となった

      『ハーモニー』で第30回日本SF大賞を受賞した。

     

    「特別賞」枠を除き、
    故人が同賞を受賞するのは初めてである。

     

      2010年に同作の英訳版が出版され、

    アメリカでペーパーバック発刊された
    SF小説を対象とした賞であるフィリップ・K・ディック賞の
    特別賞を受賞した。

     

    長編の3部作品である

      屍者の帝国
      ハーモニー
      虐殺器官』は

    アニメ映画化され、ノイタミナムービーとして
    順次劇場公開されている。

     

    『引用:Wikipedia』




  • タイトル・虐殺器官
  •  

  • 2007年6月(単行本)
  •  

  • ページ数 377ページ(単行本)
  •  

    虐殺器官
    総合評価
    レビュー件数 298件

     (2018年 10月時点でのAmazonでのレビュー評価です。

     
      

      

    虐殺器官~あらすじ

     

    舞台は近未来、アメリカを始め
    先進国ではテロによる行為を未然に
    防ぐためのシステムが確立されテロに
    よる脅威が減少した。

     

     

    一方、小さな国で民族などの対立に
    よる内戦が起こり内戦で異常ともいえる

      非人道的な大量虐殺が行われる謎の事件

    が起こり始める。

     

     

    後進諸国での内戦でのみ横行される
    謎の民族同士の異常大量虐殺行為・・・

     

    後進国とは・・
    生活、工業技術水準が先進国よりも低く、経済成長の途中の国

     

    そして、
    その内戦を引き起こし扇動している謎の

      人物・ジョン・ポール。

     

     

    特殊部隊を率いる

      主人公・米軍大尉・クラヴィス・シェパードは、

    ジョン・ポールを捕えようと内戦の
    起こった国に降り立つが・・・

     

     

    ジョンポールはすでに消えた後・・・

     

     

    彼行の方を探すし捕える為に目撃情報の
    あったチェコに潜入し、ジョンポールの
    愛人を監視し彼との接触に成功するが・・・

     

     

     

    そして、クラヴィスはジョンポールから 

      「人間には虐殺を起こさせる器官が備わっている」と

    聞かされ異常虐殺の真相を語り始める。

     

     

    その器官とは一体何なのか?

     

    ジョンポールはどこで知ったのか?

     

    彼が起こした異常虐殺の目的は一体?

     

     

    そして、主人公・クラヴィス、

      エリートで繊細な真面目な彼が
      虐殺器官による
      異常虐殺行為の目的を知ったその時、

    彼の中にわずかに覗かせる自虐的な心の闇が
    虚無感と共に解放される・・・   

     

     

    虐殺器官~感想

     

    冒頭から始まる主人公が母親や
    父親を自分のせいで殺してしまった事に
    対する自虐的ともいえる

      心の叫び、悲しみ虚無感を

    彼の不安定な精神を見せる描き方に
    ググっと引き込まれてしまう本でした。

     

     

    自分の両親の死について責任を感じ
    生と死について考える中どこかで他人事の
    ように両親の死を捉えつつ戦場にでて、

      人を殺す自分の立ち場に迷いを感じる。

     

      矛盾、葛藤がさらなる精神の不安定さを見せ
      自己を保つが、真面目なエリート軍人

    という正義感の殻がいつ割れるのか・・・

     

    表面的な正義感を抱えた主人公は内に秘めた
    罪悪感による自虐という闇を抱えながら
    一体どう堕ちていくのか興味深い所でしたね。

     

     

    そして謎の男ジョン・ポール、姿は
    見えるが何をしたいのか理解できない。

     

    そして虐殺の先に何を見ているのか、
    ホントに序盤は謎でした。

     

    彼の真意を追う楽しさ、そこもまた
    この本を読む魅力の1つです。

     

     

    彼にはジョンポールには確実な目的があり
    最後でジョンポールにこれまでの
    物語、全てをひっくり返された事には
    あ然となりました。

     

     

    ある意味ジョン・ポールは

      この物語の本当の主人公だったかもしれません。

     

     

     

    そして、

      米軍大尉クラヴィス・シェパードは

    ジョンポールの理解者であり
    彼の意思を継ぐ、後継人だったんじゃないか
    と思います・・・

     

      何かを得る為には
      何かを犠牲にする、

    そして戦争を止める為に戦争をする・・・

     

     

    最終的に誰も救われない虚しさの
    残る本でしたが、極端ですが考えや意味は
    筋は通っていてジョンポールの考え方に
    ついてはうなずくばかりの理論でした。

     

     

    お決まりの

      悪い奴がいてそいつを倒して
      みんな助かるみたいな話かと思いきや

    ところがどっこい、

      みんな助からない上に
      狂った世界が出来上がってました。

     

     

    読み終わった後、虐殺器官とは人類に
    とってクラヴィスやジョンポールに
    とって何だったのかなと?

     

     

    虐殺器官が作り出した世界平和とは・・・・

     

    頭を悩まされる1冊でした。

     

      

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