映画・「怪物はささやく」の原作になる本書。
難病の母親を抱えた少年が不安な日々を送る中
突如として現れた 怪物。
ラストは
静かな感動を見せるダークファンタジー。
レンタル店でこの映画を見つけDVD裏の
あらすじを読んだら
-
「不幸な少年」
-
「ささやきかける怪物」
-
「ダークファンファンタジー・・・・」
と個人的に好きなワードが多かったので
原作から読んでみたいと思い今回、読んで
みました。
それが良い伏線になりラストにじんわりくるダークファンタジー.。
本と作家の情報etc・・
著者 パトリック・ネス
1971年生まれ
国籍アメリカ
イギリスの作家・ジャーナリスト
南カリフォルニア大学で英文学を学び、
1999年にイギリスに渡った。
原案はシヴォーン・ダウトだったが
冒頭を執筆中病気の為、亡くなる。
その続編をパトリック・ネスが受け継ぎ
物語を完成させる。
原案 シヴォーン・ダウド
1960年生まれ 2007年死去
英国の作家で活動家。
Bog Child(ボグ チチャイルド)は、
英国で出版された子供や若者のための年最高の
本を認識して、プロの図書館員から
2009年カーネギーメダルを受賞。
2007年8月21日、47歳のときに乳がんで死亡。『引用:Wikipedia』
怪物はささやく | |||
---|---|---|---|
総合評価 |
|
レビュー件数 | 5件 |
(2018年 6月時点でのAmazonでのレビュー評価です。)
怪物はささやく~あらすじ
主人公・コナー・オマリー 13歳。
両親は離婚し父親は
アメリカで新しい家族と共に暮らしている。
コナーは難病を抱える母親と
イギリスに住居を構え2人で暮らしていた。
新薬を試すも母親の病状は良くならない日々が続いてく中
彼は信じていた 母の言葉を
-
「大丈夫よコナー、母さんは直ぐ良くなるから・・・」
この言葉を信じ不安を取り払うかのように
コナーは母さんが直ぐ良くなると強く信じた。
-
まわりに 何を言われても・・・・
-
自分だけは信じつづけた・・・
しかし、まわり人たちは知っていた・・・
コナーの母親もまた、自分の死期が近いことを・・・
そして、母親の病気のことで
コナーは学校では腫れ物に近いあつかいをうけ孤立していた。
おかげでいじめのいい標的にもなっていたのだった。
父親は 新しい家族を優先するためコナーにはそっけなかった。
そんな不安と孤立の生活を送る日々の中
彼の前にある晩、怪物が現れた。
怪物は言う
-
「わたしが3つの物語を語り終えたらおまえが4つ目の物語を話せ。」
-
「おまえの真実を語るのだ。
おまえがひた隠しにしている 真実の物語を・・・」
-
「そのために 「お前が」 わたしを 「呼んだ」のだから」
コナーは自分が怪物を呼び寄せ理由に1つ思い当たる節がある・・・
それは、コナーが抱える大きな罪だった。
誰にも言えない・・・
母さんにだって言えない・・・
とても大きな 大きな 罪だった。
コナーがひた隠しする心の闇を引き出すために
怪物は現れた・・・
コナーは罪を怪物に言えば母さんが助かるかもと考えるが・・・・
怪物の本当の目的とは?
-
怪物が語る3つの物語とは?
-
3つの物語とコナーの関連性は?
そして、
コナーがひた隠しにする彼が犯した罪とは・・・
怪物はささやく~感想
怪物が語る物語は
人間の複雑さと心の矛盾をわかりやすく
描いてあります。
それがその時々のコナーの状況にあてはまり
コナーが今思っている気持ちがちゃんと
伝わるものでした。
母親の病状が悪化しつつ焦りと不安が募り
コナーが苛立つとともに怪物もまた狂暴さを
見せていく。
そんな怪物の狂暴な姿を見せられた
コナーは冷静さを取り戻し苛立ちを
抑えるが自分の罪と向かい合えず
悶々とした日々を送るコナー・・・
一体、こんな少年にどんな罪が
と気になるばかりでした。
そして、怪物。
異形のその姿は怪物だがラスト本当に怪物と
呼べただろうか。
終盤、母親、父親のようにささやきかける姿・・・
コナーの罪を聞き心の闇から救いだし
彼の憑き物を見事に落とした怪物。
決してラストはハッピーエンドとは言えないけれど
コナーが現実を受け止めれる為に
1歩踏み出すことができるよう促した怪物に
当初の怪物らしい、らしさがなくなっていました。
人間とは矛盾する生き物という事をコナーが
抱える罪と共に怪物が教えてくれました。
建前と本音 どちらが本心かわからなくなるみたいな・・・
怪物が見抜いたのはそんなコナーの心でした。
最後に挿絵が文章とかさなり
読みにくい箇所が何か所かありました、
それが残念。
原作を読んでから映画を見るとやっぱり
映画の方が細かい描写は省いてありますね。
やはり約90分の中にあの物語が収まるように
要点だけにしぼって急ぎ足で物語が進んで
いる印象を受けました。
ですが映画の方が伝えたい事、
見せたいものが要点を絞って
上手くつなげてあるのでテンポも良く
分かりやすいストーリーになっていたと
思います。
原作を読んでから
映画を見たので余計な知識がついて
主人公の細かな心理描写が頭をちらついて
邪魔でした。
もし、原作を読んでいなかったら素直に見れて
楽しめたと思います。
映画を見てやっぱり原作も気になるという方は
小説版も読んでみてください。
映画では見せなかった主人公と
怪物の絆の築き方や主人公の葛藤や苦しみ、
心の底の闇、彼を取り巻く人間関係が良く
わかり映画では描けなかった丁寧な物語に
なっています。
映画版のラストは原作よりも
実に分かりやすく少し救われる
シーンでした。
原作のラストは尾を引かせながら
静かに主人公の憑き物が落ちるかのように
悲しく幕を閉じます。
映画は原作のその後を描いており母親との
奇妙な接点を見つけた主人公が笑顔で
終わる少し晴れやかな幕の閉じ方でした。
個人的には本の方が主人公をとりまく
心情・情景が細かく描いてあり、
感情が汲み取りやすく楽しめました。
原作を読んでないのであれば余分な
予備知識がないの分テンポよい
ストーリーに仕上がっているので
映画も十分楽しめると思います。
そして、シガニーウィーバーも
祖母役をやるようになってしまったか・・・・
時の流れを感じます・・・