小説 わたしを離さないで/カズオ・イシグロ 定められた運命は変えられるか?葛藤と成長、青春群像劇。

たまたま深夜で見た映画
「わたしを離さないで」で
心打たれ、調べると原作があると知り
読んでみました。

 

定められた生き方の中で葛藤し成長していく
彼ら彼女らの青春群像劇。



作りこまれた世界観が良い!
提供者として育てられた彼ら、
彼女らがその境遇でなぜ、
逃げない、否定しない、
抗わないのか。

限らた社会で自らの運命を受け入れて
いく様がうまく描かれている。

感動とは別の何かを
与えてくれた1冊。

ルゥー

本と作家の情報etc・・

 

著者・カズオ・イシグロ

 

長崎市新中川町で、海洋学者の
父・石黒鎮雄(1920年〜2007年)と
母・静子の間に生まれる。

 

1974年にケント大学英文学科、
1980年には
イースト・アングリア大学大学院創作学科に進み、
批評家で作家マルカム・ブラッドベリ(英語版)の
指導を受け、小説を書き始めた。

 

卒業後に一時はミュージシャンを目指していた
時期もあったが、グラスゴーとロンドンにて
社会福祉事業に従事する傍ら、
作家活動を始める。

 

フェイバー社が刊行する
『新人集・七』に収められた
三つの短篇
「不思議に、ときには悲しく」
「Jを待ちながら」
「毒殺」でデビューした。

 

1989年、英国貴族邸の老執事が語り手となった
第3作『日の名残り』(原題:The Remains of the Day)
で英語圏最高の文学賞とされる
ブッカー賞を35歳の若さで受賞し、
イギリスを代表する作家となった。

 

1995年、第4作『充たされざる者
(あ題: The Unconsoled) を出版する。

 

2000年、戦前の上海租界を描いた
第5作『わたしたちが孤児だったころ
(原題:When We Were Orphans) を出版、
発売と同時にベストセラーとなった。

 

2005年、『わたしを離さないで』を出版する。

 

2005年のブッカー賞の最終候補に選ばれる。

 

この作品も後に映画化・舞台化されて
大きな話題を呼んでいる。

 

『引用:Wikipedia




わたしを離さないでは
2010年にマーク・ロマネク監督、
キャリー・マリガン、
アンドリュー・ガーフィールド、
キーラ・ナイトレイ主演により、
イギリスにおいて映画化されました。

 

キャリー・マリガン・・・
華麗なるギャツビー他
に出演。

 

アンドリュー・ガーフィールド・・・
    アメイジング・スパイダーマン他
に出演。

 

キーラ・ナイトレイ・・・
『パイレーツ・オブ・カリビアン/
呪われた海賊たち』他
に出演。

 

日本でも
2016年1月15日から3月18日まで、
TBSテレビ系「金曜ドラマ」枠にて
テレビドラマ化されました。

 

主演は綾瀬はるかさん。



タイトル・「わたしを離さないで」

 

2005年発売

 

ページ数・約439ページ(文庫)

 

わたしを離さないで
総合評価
レビュー件数 681件

わたしを離さないで~あらすじ

 

とある施設「ヘールシャム」、
ここで育てられる子供たち。

 

彼らは提供者と呼ばれ、ゆくゆくは
自らの臓器を提供しその使命を全うし
人生を終えるのだった。

 

ヘールシャムの子供たちも自分が何者か
この先どうなるのか、ヘールシャムの教師たちの
不自然な態度と様子で学年が上がると共に
うすうす感じ始める。

 

普通とはちがう、特別な自分に疑問と不安を
抱えながらも自らの人生を歩むのであった。

 

提供者として自分の死を迎えるその日まで
自分の運命と向き合う彼ら。

 

表の社会の裏でひっそりと息をする提供者たちの
日々と人生を3人の男女が見せてくれる。

 

絶望的な人生とも思える運命の中で
確かな幸せと一生懸命になれる何かを
見出すのだった・・・

 

彼ら、彼女らの学生生活はどんな様子なのか
何を思い、何を感じていたのか。

 

一般社会とは隔離された施設の中で
提供者として育てられる人間位以下の存在を
キャシー、ルース、トミー3人の視点で
描く青春群像劇。




わたしを離さないで~感想

 

医療目的で臓器を提供する人間を育てる内容の
物語です。

 

この手の話は映画だと「アイランド」が
パッと浮かびます。

 

原作よりも映画を先に見てしまったので
ある程度話は理解していましたが映画のような
哀しい雰囲気とはまた別の感じが原作から
見受けられました。

ルゥー
正直、原作も読んで良かったと
思えるほどよい本でした。

 

序盤から主人公であるキャシーの語りが
明るい、やさしい少女の口調で始まる事で
物語に入り込みやすい。

 

臓器を提供し死ぬだけの存在の彼らですが
キャシー(女性)、ルース(女性)、
トミー(男性)
男女3人の出会いから三角関係に発展して
複雑な人間模様になっていきちょっと
ハラハラ、ドキドキな展開を見せたりします。

 

 

多くの事は望めない、普通に生きれれない人生の
中で車でドライブをし子供時代の思い出を語ったり
喧嘩をし恋愛を知る3人の物語が生きている実感を
感じながら日々を過ごしている事が何とも言えない
感覚でした。

 

やがて2人から距離をとるキャシーの気持ちも
とても上手く描かれている。




そして臓器を提供し最後を迎えるだけの人生と
知りながらも逃げようとしない3人。

 

なぜ、逃げないと疑問を抱くがそこも上手く
作りこまれています。

 

キャシーがポルノ雑誌を何冊もあさるように
見ているくだりで個人的になんとなくの
察しがつきました。

 

キャシー、ルース、トミー3人の人間模様が
とても危うく微細に描かれており物語に
リアルティを感じる。

 

打ちのめされる人生の中で全てを
受け入れていけたのは
3人の絆のおかげだったのではと思う。

 

終盤で自らの境遇を少しでも変えよう
とある噂を希望に抱きますが、
最後までこの世界観を壊すことなく物語が
終了する感じは良かったような、寂しいような
終わり方でした。

 

ルゥー
ちなみに映画と原作とでは
少しラストが違いますが
映画でも原作での雰囲気は最後まで
ばっちり再現していました。

映画ではラストが原作よりも
哀しい終わりになります。

こんな本も読んでます。

 

 

 

 

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